高さよりも深さに惹かれるガッツです。

グラン・ブルーを観てきました。
素もぐりの才能を持ち、イルカを家族と呼ぶ主人公。

海の世界の美しさとの対比として、
陸上には、あまり人付き合いが得意ではない主人公を理解してくれる
女性と、親友がいます。

決して不幸ではない陸上の世界。
それでも、海にもぐるたびに、やっぱり自分の本当の居場所はここなんじゃないか、と胸の底から湧き上がる憧憬。
呼吸器を取り違えて生まれてきてしまったような違和感が、
主人公が築き始めた人並みのしあわせに不協和音をたてはじめます。

この映画は、ダイビングという具体的な行為を越えて、
人生とは何かを深めるために与えられた時間であり、
どこまでいけるのかを試すための身体なのだ、という隠喩を思わせます。

もぐった果てに、何かを拾って帰って来れるなら、
人は陸上でも賞賛を得て生きることができるけれど、
もぐったままに消えてしまう生き方は、
究極の自分勝手といわれてもしょうがないようなもの。

戻りの酸素を忘れずに、何かにもぐりつづける人生でありたいです。

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