人生に大切なことは全て司馬遼太郎先生から学んだ、ガッツです。

江戸時代、鎖国の中で外国語が理解できる人間の希少さは、現代のどんな能力をもってしても想像できないほどでした。

幕末、黒船来航によって外国との折衝を行う必要性がさしせまる状況で、言葉を理解できる人間がいない危機。

そんな時代に、天才的な記憶力を持って生まれた主人公が伊之助です。
彼は長崎に行き、蘭語だけでなく、英語やドイツ語、さらには中国語まで常人には考えられないスピードで身につけていきます。

この時代に何ヶ国語もしゃべれるということは、どんな立身出世も思うがまま、となりそうなものですが、
伊之助はその能力をどう活かすのか、という部分に関する興味がまったくなく、とにかく勉強し続けたい、という純粋な知識欲しか持ち合わせていません。
そのうえ人間づきあいが超ド級に下手で、人を不快にさせてまわり、礼儀も作法もないため、誰も伊之助を上に推挙してくれる人はいませんでした。

何かのために学ぶのではなく、学ぶために学ぶ脳みそ。
歯がゆさとツッコミばかりがページを繰るたびにわきあがってきます。

現代に生まれたらきっと、伊之助は凄腕プログラマーとなっていたことでしょう。
誰とも交わることなく、そのプログラムによって何を作るのか、という部分には目もくれず、
とにかく新しいプログラム言語を次々と吸収し、美しいコードを書くことだけに集中して、
在宅で終える一生。

すばらしい能力を持って生まれながら、その能力を活かす方法を探すこともなく、
人間関係によって損ばかりし続ける伊之助の生き様に、
なぜか、強く魅かれてしまう自分がいます。

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