絶滅するという感覚を想像する
例えば、自分がある種の最後の個体になったと想像すると
それはとても孤独だ。
自分以外、同じ種族はいないのだから
話し相手もいない
その種の進化の突端が自分自身であり、
連綿とした系譜の最後を締めくくるのも自分で、
そう思うと、騙されて途轍もなく冷たくて重い何かを
背負わされた気持ちになる。
でもそれも、いつかは終わることで、
避けられない結果について
何かを考えるのは感傷に近くて
未来のことなのに、結局は過去と同じで
変えようがないことだからどこかに置いておく。
だから、こういった場合の最悪について、話そうと思う。
絶滅する一歩手前、個体が2頭生存という状況
そのどちらもオスだった場合を考える
お互いがお互いに
「これは、どうしたものか」と思う
「多分どっかにおるやろ」と不眠不休の2交代制で
メスを探しに行く。見つからない。
探しに行く。見つからない。
やはり「これは、どうしたものか」と思う
そこから2頭は
「いやいやいや、物理的に無理やろ、仮に、仮にやけど、
物理的に行けたとしても、精神的にアカンやろ
というか、種の保存的にも無意味やろ」
という結論で毎度終わる議論をすることになる
そして、またメスを探すための不眠不休の2交代制が敷かれる
その繰り返しの中で、いずれかが月のきれいな夜に息絶えたときに
残ったほうは、どう思うのか知りたい
無意味な捜索や議論の中に最悪があったのか
自分が最後の個体になってしまった、
この瞬間に孤独と一緒に最悪がやってきたのか
最悪はやはり自分が息を引き取るときに来るのか
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