コカコーラがうまれたきっかけをご存知ですか?
デイル・ドーデン著「仕事は楽しいかね?」を読んで、恥ずかしながら私は初めてこの話を知りました。
すばらしいアイデアは、どうやって作られるのか、というのが主題のこの本の中で、
すばらしいアイデアが生まれた一例として、コカコーラの話が語られます。
ジョン・ペンバートンはもともと薬の開発を行っていて、
そこで働いていた店員がシロップ上の頭痛薬を水で割って飲んでいたところに遭遇したのだそうです。
ジョンは自らも水で割った頭痛薬を飲んでみて、なかなか悪くない味だったので、そこにソーダ水を加えてみたら、コカコーラができたというんです。
著者はここで、画期的なアイデアのほとんどは偶然から生まれていて、生み出そうとして生み出せるものではない、という暴論を披露します。
アイデアを生み出したければ、どうすればいいのか。
画期的なアイデアは偶然にしか生まれないので、アイデアにたどり着くまで、とにかく試し続けるしかない、クジは引き続けなくては当たらないから、という結論が展開されます。
いやいや、そんな結論じゃ納得できないとここで本を閉じてしまった方も一定数いるかと思いますが、
最後まで本を読んでみると、作者が言いたいのは、なによりもまずアイデアにふさわしい人間になることが大切だ、ということなんだとわかります。
前述のコカコーラの例で言えば、店員が店の商品に手をつけて、勝手に飲んでいるところに遭遇したとして、
あなただったら、ほぉ、薬を水で割るとうまいのか、それはおもしろそうだ、ひとつ商品にしてみるか、と思える人間であるかどうか、ということです。
世の中にはきっと、いくつものすばらしいアイデアが転がっていて、
でも、それに気づけない人間は目の前をただただ通り過ぎているんだ、と物語は語ります。
シリコンバレーの投資家が、アイデアなんかどうだっていい、と言い切っていたことを思い出しました。
彼らが3分間のプレゼンの中で見ているのは、起業アイデアよりも、人なのだ、と。
やる人がやればなんだって成功する、という彼らの言葉の意味が、この本を読んでようやく少し理解できたような気がします。
考えていては思いつかないこと。
目の前にきた偶然をとにかく試してみて、さらに変化させてみて、失敗から学んで、初めて成功するんだ、という哲学は、
リスクと批評と恥という概念でがんじがらめになった日本人には、遠い憧れのように美しく響きました。
改善でいける未来はあとちょっと。
飛べる頭を作りたいな、せっかく21世紀なんだから、とわくわくしながら読めた本でした。
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